個人事業主は、事業に関わる全てのことを自分で行います。もちろん資金繰りもその一つです。昨今の社会情勢の大きな変化に大きな影響を受けている個人事業主ですが、資金繰りの不安を解消するために紹介したいのが、助成金などの各種制度です。
今回は、個人事業主向けの助成金等制度を紹介していきます。
月次支援金
1カ月上限10万円
2021年の4月以降に実施される緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う「飲食店の休業・時短営業」や「外出自粛等」の影響により、売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者等を対象として支援金を給付します。
- 対象月の緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受けていること。
②2021年の月間売上が、2019年または2020年の同月比で50%以上減少。
※2021年の4月以降に実施される緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴い、
同措置が実施される地域において、休業または時短営業の要請を受けて、
休業または時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引があること、
または、同措置が実施される地域における不要不急の外出・移動の自粛による
直接的な影響を受けていることが条件です。
協力支援金
新型コロナウイルス感染症による営業時間短縮要請に応じた飲食店に対し、協力金を給付します。
- 緊急事態を実施すべき区域等20時までの営業時間短縮要請
(酒類提供時間は19時まで)を実施する場合に、1日6万円(月額換算最大180万円)
- ①以外の区域
1日4万円(月額換算最大120万円)
-一時支援金
最大30万円支給。
緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛による影響を受け
売上が減少した中堅・中小事業者が対象です。
①緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響 を受けていること
②2019年比または2020年比で、2021年の1月、2月、
または3月の売上が50%以上減少していること
※緊急事態宣言の再発令に伴い、
緊急事態宣言の発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること、
または、宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による
直接的な影響を受けていること。
診療・検査医療機関をはじめとした医療機関等への感染拡大防止等の支援
院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者、助産所、都道府県の指定を受けた診療・検査医療機関(仮称)を対象に、以下の額を上限として実費を補助します。
・ 病院・有床診療所(医科・歯科) 25万円+5万円 × 許可病床数
・ 無床診療所(医科・歯科) 25万円
・ 薬局、訪問看護事業者、助産所 20万円
・ 診療・検査医療機関(仮称) 100万円
小規模事業者持続化補助金
新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために、経営計画を作成し、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に取り組む小規模事業者対象に、以下の助成を行います。
・低感染リスク型ビジネス枠では、補助上限を通常枠の50万円から100万円、補助率を2/3から3/4へ引き上げ。
・業種別ガイドライン等に沿った感染防止対策(アクリル板や消毒液等の費用)を行う事業者については、補助対象経費の1/4を上限として感染防止対策にかかる費用を補助する。
(例:補助金額80万円の場合、うち20万円は感染防止対策費用として利用可能)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために、革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善に向けた設備投資等に取り組む中小企業等を対象に支給します。
ウィズコロナ・ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けた中小企業等の取組を支援するため、特別枠を新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)に改編しました。
補助率を通常枠の1/2から2/3へ引き上げます。上限金額は1000万円になります。
IT導入補助金
IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を支援する目的で、ITツール(ソフトウエア、サービス等)の導入にかかる経費の一部が補助される大変お得な制度です。
・低感染リスク型ビジネス枠とは
それでは今年、新たに設けられた「低感染リスク型ビジネス枠」とはどういったものでしょうか。昨年の特別枠は新型コロナウイルス感染症対策として非対面型ビジネスやテレワークのためのITツール導入が補助対象として挙げられていました。
今回の低感染リスク型ビジネス枠ではそこからさらに進んで、コロナの影響が長引く中、中小企業はコロナが収束するのを待つのではなく、積極的にポストコロナを見据えた対策をするために必要となる設備投資やIT投資に対する補助が目的です。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、従業員の雇用を維持するためのものです。事業主が従業員に対して休業手当などを支払う場合に、手当の一部を助成します。
経済上の理由によって事業を縮小する必要に迫られた事業主が、雇用維持のために一時的に雇用調整を実施した場合に対象となります。
また、事業主が従業員を出向させて雇用を維持した際にも支給対象です。
最近ではコロナの関係もあり、雇用関係で助成金支給も多くなっています。
雇用調整助成金の要件は以下の通りです。
・雇用保険の適用事業主
・売上や生産量などが前年同期に比べて10%以上減少している
・雇用量の指標が前年同期に比べて増加していない
・休業が労使間の協定によって実施されている
・雇用調整助成金の支給を受けたことがある場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から一年を過ぎている
キャリアアップ助成金
非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する制度で、非正規雇用だった従業員をキャリ
アアップさせるため、資金の一部を助成してもらえます。
雇用保険適用事業所の事業主であり、キャリアアップ管理者を置いていること、キャリア
アップ計画を作成し、管轄労働局長の認定を受けていることが受給の要件です。
書類審査で受給が決定し、場合によっては実地調査が行われるかもしれません。
キャリアアップ助成金は、一定の金額が出ますが、他の助成金と比べると特に通過率が高く
しっかりと申請書が書け、条件に適合しているのか、ということが大事になります。
キャリアアップ助成金には、以下のコースがあります。
・正社員化コース(1人当たり57万円)
・諸手当制度等共通化コース(1事業所当たり38万円)
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース(1事業所当たり19万円)
・短時間労働者労働時間延長コース(1人当たり最大22万5,000円)
・障害者正社員化コース(1人当たり最大120万円)
両立支援等助成金
子育てや介護、不妊治療などの両立を支援する助成金です。育児休業や介護休業、
不妊治療のための休暇制度の実施、相談対応などを行った事業者に対して
助成金を支払います。
両立支援等助成金には以下のコースがあります。
・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)(1人目の育休取得57万円※中小企業)
(28.5万円※中小企業以外)
・介護離職防止支援コース(介護休業取得・介護両立支援制度導入でそれぞれ28.5万円)
・育児休業等支援コース(育休取得時28.5万円・代替要員確保時(1人当たり) 47.5万円など)
・不妊治療両立支援コース(環境整備、休暇の取得等28.5万円 長期休暇の加算1人当たり28.5万円※1事業主あたり5人まで)
・女性活躍加速化コース(Aコース、Nコース2種類、いずれも数値目標達成時 28.5万円 ※常用労働者数300人以下、1企業につき1回限り)
・新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース(対象労働者1人当たり 28.5万円)(1事業所あたり5人まで)
個人事業主向けの助成金等制度まとめ
以上個人事業主が受けることのできる制度について紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、働き方の見直しが行われ、これに伴い多くの制度が導入されています。個人事業主向けの制度もどんどん創設されているため、以前調べたときは該当する制度がなかった場合でも、再度調べてみることをおすすめします。
ぜひ各種制度を活用しましょう。